震えるほど儚く

好きなアイドルがたくさんいます

輝きを抱きしめよう

 

 

遅ればせながらAnotherの配信の感想を書きたい。

 

この状況下で舞台自体が開催されたからか、かなり物語の展開が急で、体感的に前半はタクヤが5分に1回くらい泣いていて、後半はトアが5分に1回くらい泣き叫んでいるみたいな感情の起伏の激しさがあった。親友とその弟を亡くして、どことなく死に向かって自分を見つめているような気概のあるタクヤといつ爆発するやも分からない体の中の爆弾を抱えつつも怖いよと父の肩を借りて咽び泣きつつも生に向かって歩いていくトアはどこまでも対象的なふたりだなと思う。 それでも島に着いた瞬間から生に興味のなさそうなというか、結果的に親友とその弟の眠る島に残ることを選ぶタクヤと友人たちと島から出ることを選んだトアは正反対でありつつも家族と一緒にいたいという思いは共通しているのかなとも思った。 トアにとっては血の繋がりがあることや同じ爆弾を抱える人たちのいる島で暮らすことよりも、友達が家族だったんだろうし、タクヤにとっての家族はウラやアオイ/ コウスケ だったんだろうなぁ。

 

だから、アオイ/コウスケが亡くなった場面でタクヤが「なんで俺も連れてってくれなかったんや…」(意訳)と叫ぶ場面が行き場のない悲しみのどろどろひしたものが流れ出るような気持ちになる訳で、トアもコタロウもルウクも基本的にはタクヤの生の諦め的な部分に干渉する事はないというスタンスとそこに待ったをかけるフウガの対比にもなるのかな。 フウガは5人の中で1番掴めないキャラクターだった。 トアのように重々しい宿命を背負ってもなお生きようとする訳でもなく、タクヤのように絶望の縁で生を諦めつつ生きるわけでもなく、コタロウのようにほがらかで1歩引いた存在ではなく、ルウクのように真っ直ぐに育ったいわゆる普通の少年という感じでもない。船が出港する時に掛け声をかけるのも、誰よりも言霊を信じ、島から出られる=生きて帰れる ということを信じているのがフウガだけれども、それは仲間たちに対してのことで自分は必ずしもそうでありたいというようなものはあまり見えない感じがした。フウガは下手したらまたタクヤを探しに島にひょっこり現れそうな掴めなさ。

 

全体としての幼さが故の呪いみたいなものがずっとあったのと、その後の人生においてのトアとタクヤの呪いの比重があまりにも大きいのとで不思議な感情になった。 トアは誰にも秘密を言わずに爆弾を抱えながら生きていくのか、真実を伝えるのか、 ウラとアオイ/コウスケ を弔った先のタクヤの人生の見えなさとある意味心中的な雰囲気とか。

 

だからこそ本編最後の輝きを抱きしめての眩さが良い意味で浮いていて、呪いに取り込まれすぎずに気持ちが帰ってこれた気がする。 斗亜ちゃんのパートで5人ぎゅっとなっているのがあたたかくて良かった。