震えるほど儚く

好きなアイドルがたくさんいます

久しぶりに見た映画の話をする

 

 

映画『レッド・ファミリー』予告 - YouTube

 

スパイもののコメディ映画だと思って見たらかなり予想と違っていて度肝を抜かれた。表の顔は完璧な仲良し家族、裏の顔は北朝鮮のスパイという二重生活をしている血の繋がりのない家族の話なんだけど、はじめのほうのコメディタッチな雰囲気に飲まれながら見ていると中盤~後半のやるせなさとおそらくそれが今現在も隣り合わせで存在しているのかもしれない悲哀とどうしたら良いのか分からない気持ちになった。どうしたって救われない。

 

スパイ家族も決してやりたくてその生活をしている訳ではなく、いざ任務を遂行しようとすると手が震えたり、自らの家族に思いを馳せて手が動かなかったり、これでいいのかと葛藤したり、きっとこれは人道的に良からぬことではあることも、この生活を続けていたってなにも現状が変わらないことを分かっているけれどもそれを口に出す訳にはいかずに隣人との誕生日会で飲んだお酒の勢いや口論などに任せないと心の中で留めておくことしか出来なくてもどかしい。その吐露や口論も別のスパイたちに録音されていて、きっとそのスパイたちもそうせねばならない事情があってそうしているのであろうという光の見えない連鎖が苦しい。最後までそれは続くんだけど。

 

そんなスパイ家族と対照的に描かれるのが隣人のいたって普通の韓国人の家族で、いつも大声で言い合う声がスパイ家族の方まで響いてきていて、感覚の違いに悪態を着いたりしつつも、スパイ家族の娘と隣人家族の息子の間にほがらかな友情が生まれたり、誕生日会をしたりと数回交流していくうちにスパイ家族の間に無意識のうちに今までとは違う感情が芽生えて行くんだけどそれさえも全部が悪い方向に進んでしまう物悲しさとそれが故にスパイ家族が選択してしまう結末と一世一代の大芝居と最後にオープンエンド的に描かれる希望とは言えないかもしれないけれどいつかはそうなりうるかもしれない希望の描き方が印象的だった。