WAKE UP THE FOOLに行くことを決めた。
会場に入っているとお洒落なジャズ曲かがかかっていた。そうすると、オープニングの映像が始まった。大昇が影となってFeeling Goodをうたいあげていた。
It's a new dawn
(夜が明けるの)
It's a new day
(新しい日が始まる)
It's a new life
(新しい人生よ!)
For me
(私の為の)
And I'm feeling good
(最高の気分)
このFeeling Goodは 1964年のミュージカルThe Roar of the Greasepaint – The Smell of the Crowd の曲だそうです。役名がなく "The Negro" と呼ばれている黒人のキャラクターが、劇中のゲームで白人のキャラクターに勝利したときに歌われる曲であるらしい。当時の黒人の立場的にもようやく訪れた自由!新しい人生!という苦難の先に訪れた希望の歌なのかもしれない。キテレツがこれを一発目の映像で、しかもグループのセンターを担う大昇に歌わせるということに意味を感じた。大昇を真ん中に据えたグループとして苦難の先に訪れた新しいひかりをうたう。全く2/16の痛みを忘れておらずそれを苦難とするとここからやっと自由に飛び回る、賽は投げられた!ということなのではないだろうか。
そこから景気の良い音が流れて猪狩さんからのかかってこいよ!!!を受け取る。そうすると大きな天の上からキテレツが登場してきた。てっぺんの方に大昇がいることにきっと大きな意味があるんだ、このグループは大昇をスターに据えるグループになるのだと思うとどうも胸があつい。ジュディ・オング的なスターのかがやきが見えた。とんでもないスターが誕生してしまったとさえ思った。それが猪狩さんのエンターテインメントをやるグループにいることがどれだけ嬉しいかということについてはよく言い表すことができない。この時に、キテレツが完全無欠の5人組であることを確信した。素敵なエンターテインメントをしようという気概も面白いことをやってやろうという気概もある、しかも歌やダンスに文句を付けさせない。グループでできることを表した時に綺麗な円ができるようなグループなのではないかと気づいた。それがハイハイとのいちばんの違いだと思った。 私の中でのハイハイは綺麗な円ではなくある部分が飛び抜けている少し歪な円でそれを楽しんでいたけれどそれがいまいち運を掴みきれなかった理由なのかもしれないと今になって考えるようになった。似た系譜だと思っていたグループが実は全く違うことをやっているのだと結論づけられた時にやっとわたしはハイハイを宝箱に入れる準備が出来た。それと同時に、今度こそどうかこのグループが永遠と名のつくものになるように願った。もう二度と素敵な人たちがあんな思いせずに済みますように、大スターになって笑ってあの時は大変だったと小粋に話せたらいい。
コンサートの中で、1番辛く1番美しかったのが雪白の月だった。ローラースケートを猪狩さんが途中で履いて出てくること、歌っている大昇さんや瑞稀くんと踊る猪狩くんという対比がなんとなく前のグループのことを想起させそうなことは行く前から知っていた。辛いだろうと思いながら会場に着いたつもりだった。あまりに楽しいエンターテインメントだったので忘れていたがやはり辛かった。雪白の月という歌の歌詞も相まって余計に走馬灯のようにあらゆる後悔が頭の中を駆け巡った。ローラースケートを履いて踊る猪狩くんがひとりぼっちで美しい分だけ寂しかった。もう二度と5人で田の字に作られた花道を1曲のうちに何周もすることも、そもそももうローラースケートを履くことももう無い。猪狩くんはローラースケートは辞めないと言っていたけれど、それでも次の保障は無い。ハイハイを好きになった時にはまだ違和感のあったローラースケートにこんなに愛着が湧くようになるとは思わなかった。そのくらいにはわたしだってハイハイが好きだった、信じていた、今頃5人でデビューするのだと月に行けるのだと思い込んでいた。デビューして欲しかった、5人でいてくれさえいれば何もいらないよ、やっぱり。もう一生閉じることの出来ない穴がぐりぐり広がっていった。あらゆる後悔の念を涙と雪白の月で流し込んだら、ハイハイを宝箱へ入れることが出来た。しばらく取り出すのはやめにする、それでもとびきり綺麗な宝箱に入れられた。消えない後悔もするすると箱の中に入ってきらきらのたくさんついた鍵を大切にしめた。
いまのところ、キテレツはまだデビューしていない。だが確実にハイハイが掴めなかった運や波に乗っていると感じることが多々ある。その最たるものがKITERETSU FIREのバズだった。
2日で100万、1週間で200万超、現時点で400万回超。ちなみに4年前に公開されたハイハイのEyes of the futureは現時点で600万回なのでキテレツの瞬発力や勢いが伺える。後年のハイハイは数字との戦いだったような気がする。もう何をすればデビューできるのか分からない中での最後の壁が明確な数字だったのかもしれないと後になって考えるとがよくある。キテレツファイヤーがものすごい勢いで再生回数を伸ばし始めた時、キテレツはちっぽけなコンプレックスすら綺麗に昇華してくれるのかと思った。なんでもかんでもハイハイに絡めるのは良くないとわかっていてもまだそうするのを辞められない。そんなおたくはきっと少なくないだろうと思う、そうせざるを得ないだけのことが起こったのだ実際に。
それでもキテレツは全部抱きしめて君と歩いていこうと歌ってくれる。無かったことにせず、しかもとにかくたのしいことをやろうとしてくれる。そこに付随して勢いも後押しもある。だから、一切下を見ずこのまま昇り龍になれ、キテレツ